「あ、俺? 高校中退。だから、最終学歴は、中卒?」
フジテレビ系月9ドラマ『HERO』で、主演・木村拓哉のセリフだ。
いかにもキムタクが言いそうである。
実際、中卒の検事はいないらしいが、高卒はいる。
「わたし無名私立大学だったから、自分の大学名が恥ずかしかったんです。でも、検事になったら、大学を聞かれたことが一度もない。高卒の検事もいました。わたしは東大じゃなくてむしろ、得した感じ」
と、ある元検事が言っていた。
彼女によると、弁護士は必ず学歴を聞かれるという。
アメリカのドラマ『SUITS』でも、一流弁護士事務所ではハーバード大卒が必須条件だ。
弁護士の世界では、学歴が武器になるらしい。
そう言えば、
東大一直線なマンガ『ドラゴン桜』に登場する桜木健一も弁護士である。
「俺が売ってるのは、そこらのキップとはちがう。東大行きという超極上のプラチナチケットだ! これを買えば旅の初めは大変だが、あとには見事な絶景と快適な列車が待っている。買わなきゃ一生ボロ汽車で断崖絶壁を走るんだ。問題は買うか買わないか答えは買うに決まってる!」
と主張している。
実は、弁護士らしい発想なのかもしれない。
ボロ汽車に乗っていた方が、カッコいい世界だってあるのだ。
例えば、周り全員が東大の環境だ。
建築家の安藤忠雄は、高卒の東大教授である。
「大学は、どこですか?」
などと、彼を学歴で判断する人はいないだろう。
大学教授に資格はいらない。最終学歴は中学卒業でいい。
高度な能力があればいい。
検事も同じ。司法試験に受かれば、学歴は関係ない。
むしろない方が自慢だったりする。
優れた人の周りに高学歴が集まってくるというのは、ありそうだけど。
「東大理Ⅲを自慢するやつが俺のクラスにいるんだ。馬鹿なの? と思う」
と、東大医学部の友人がビールを飲みながら言っていた。
「クラス全員が理Ⅲなのに、ここで自慢してどうするんだよ。俺は、あいつには診てもらいたくないね」
東大医学部は、最難関だ。
彼は、吐くほど勉強したらしい。
最後は達観し、
「これは、クイズ王選手権なんだ」
と、悟ったら受かったと言う。
彼は、大阪の公立高校を落ちている。
で、滑り止めの私立に進学した。
「5人しか落ちなかったのに、俺の番号がなくてビックリしたよ。落ちたヤツが少ないからバレてるし」
その私立高校から、東大理Ⅲに受かったのは彼だけだそうだ。
過去にもいないという。
無名の私立から理Ⅲも、東大のクラスではカッコよかったようだ。
ことによると、
僕たちは、学歴に(強力に)洗脳されているのかもしれない。
結局、その人が誰か? なだけなのに。
高学歴は、案外、カッコ悪かったりもするのだ。
文:紙本櫻士
https://komezensen.jimdofree.com/
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