芸能界の高齢化。
『いだてん』を見ている。
視聴率がとれなくて大変だという。
NHKは、スポンサーを気にしなくていいから視聴率など、そもそもいいではないか。
とは思うけど、視聴者がスポンサーという考え方もある。
たけしが古今亭志ん朝の役で、『いだてん』は、たけしの落語のマクラから始まる。
脚本は、宮藤官九郎でドラマ『タイガー&ドラゴン』で使った落語のマクラから始まる、同じ演出である。
たけしの喋りがいけない。
滑舌が悪い落語家なのだ。
注意深く聞くと、(やっと)何を言っているのかが分かる。しかも、彼は早口だ。
ディレクターは、ダメ出ししないのか。と、言いたい。
大御所とかは、作品に関係ないのだから。
作品が第無しではないか!
たけしにだって悪いと思う。
芸能界の高齢化が始まっている。
そもそも、移り変わりの激しい芸能界に高齢化などなかった。
客に飽きられたら、消えていく世界だった。
だった。というのは、今は消えないからだ。
視聴者の高齢化が、高齢芸能人を支えている。
「やめろって言われるまで、おいらやるぜ」
と、たけしは言う。
その通りだろう。高齢者たちは、タモリ、さんま、たけしに安心を求めているのだと思う。
例えば『水戸黄門』や『相棒』には、定形の安心がある。
同じスタイルが続き、危なくなったら印籠が出て、悪い奴らが懲らしめられる。
相棒も、基本、同じ。
水戸黄門ほどの、古典定形は見られないが、視聴者が安心して事件の解決を眺めていられる。
その心地よさは、高齢者が好む世界だ。
いきなり黄門様が切られて死んだら、視聴者は納得しないだろう。
見ていて不安にもなる。
かつてツービートのたけしは、漫才の定形を壊して頭角を表した。タモリ、さんまも同じである。
彼らは、これまでの芸能界にはいなかった芸人だった。
見たことがないものを喜ぶのは、若者である。
いま、新しい何かが起こっている。
それに胸がときめく。それは、若者である。
ところが高齢者は、新しいモノが苦手だ。
不安になるからだと思う。
若い芸能人を覚えるのも大変だしね。
現在、多数派高齢者の安心が、芸能界に求められている。
テレビや新聞は、高齢者で支えられているから、同年代のタモリ、さんま、たけしは(しばらく)安泰だろう。
たとえ、滑舌が悪くなっても…。
ワクワクする新しい文化は、どうやらネットに移っている。
文:紙本櫻士
https://komezensen.jimdofree.com/
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