「土用の丑の日は、うなぎを食べよう」
と広めたのは、平賀源内である。
うなぎは、こってりしていて、夏にあまり売れなかった。
また、うなぎが旨い旬は冬である。
基本、うなぎは夏に(あまり)売れない。
「くそ暑い日に、まずいうなぎが食えるか!」
というのが、江戸っ子の常識だったのである。
「先生、なんかいい方法はねぇかなぇ」
と、うなぎ屋は、源内さんに訊いた。
ことによると、馴染みのうなぎ屋だったのかもしれない。
「うなぎは、夏でもうめぇと思うぜ。冬が旬だって、みんな味なんか分かりゃしねえよ。丑の日だから『う』のつく食べ物が縁起が良いってことにして、精のつくうなぎで、夏を乗り切ろうってのはどうだい?」
「そんなにうまく行きますかねぇ」
「店の前に、張り紙でもすりゃいいのさ」
「それなら、できますぜ源内の旦那」
と、そんな会話があったかは分からないけど、源内先生のキャンペーンは当たった。
いまでも、土用の丑の日は、うなぎ屋さんはホクホクである。
平賀源内は、コピーライターの走りだったのだ。
僕は、春は桜前線、秋は米前線。花見と月見。
を、広めようとしている。
月見は、秋の収穫祭だから、新米を食べる習慣をやりたい。
うなぎと違って、新米は旬である。
米屋さんに相談されたわけじゃないけど、新米を食べるボジョレー・ヌーボーのような収穫祭をやってみたい。
GHQが、新嘗祭を祝う休日はけしからんと、勤労感謝の日になった経緯がある。
なんか悔しいではないか。どん! と言いたい。
なので月見の時期に、新米をいただき、新嘗祭では、うなぎならぬ新米を食べようと思う。
僕もコピーライターだし。
文:紙本櫻士
https://komezensen.jimdofree.com/
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