会社をつくったら、誰でも社長。
いまは資本金1円で、会社を興せるから株式会社のハードルが低くなった。
資本金300万円からの、有限会社制度も廃止である。
かつては株式会社を興すのに1千万円も必要だったんだ。
さて写真は、フリーランスのコピーライターをやっていた頃に使っていた名刺である。
裏に、紙本櫻士制作室と書いてある。
資本金などいらず、名刺を作れば誰でもコピーライターになれる。
僕は組織に所属していない。
仕事に応じてカメラマンとかエディターとかチームを組むのが基本である。
スッキリしたものである。
どうでもいいことかも知れないけど、
問題は、同窓会など個人的な集まりである。
「いま、なにしてんの?」
「コピーライターをやっているんだ」
「すごいじゃん。自由でいいなぁ」
と、最初はこんな会話から始まる。
ところが、お酒が進んで軽口のひとつも出る頃には
「どれくらい稼いでるの?」
「まぁ、貧乏してるよ」
「いつまでも、そんなことやっていて大丈夫なの?」
で、どこに書いているのか? クライアントはどこか? どうやって仕事を取るのか?
そんな原稿料で暮らせるのか? いつまでも小説なんて書いてて大丈夫なのか?
が続き、長い説教が始まる。
昔、ヤンキーだった人が、ちゃんとした社会人になれていない僕に、なんと説教を始めるのだ。ちゃんとしろと。
ヤンキーたちは、ちゃんとした社会人の先生や大人に、あんなに反抗していたじゃないか。
これは、絶対、納得いかない。
僕は、彼に迷惑などもかけてはいないし。昔も今も。
サラリーマンの自己紹介は簡単である。
「今何してるの?」
「パナソニックの海外事業部にいるよ」
で、終わり。
年収やら、どんなクライアントに何をいくらで売っているのか? その値段で会社はやっていけるのか?
などと聞かれたり、その後の説教は(普通)ない。
数年前、僕は株式会社と合同会社を設立した。
肩書は、代表取締役である。
僕は何も変わっていないのに、肩書がついただけでヤンキーたちの説教がなくなった。
貧乏は変わらないのに、
なぜなんだろう? 肩書は不思議である。
文:紙本櫻士
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