情報は無料で。
ネットは、基本、無料である。
これほど普及した理由は、タダだからだ。
最低、プロバイダーなどに料金を払うことになるけど、コンピューター同士を繋げているだけのインターネットに、運営者はいない。
IIJの社長にインタビューをしたことがある。80年代のことだ。
日経新聞の記事だった。インターネットって何? という内容である。
当時のネット接続費用は、ひと月10万円くらいで、なんて高いんだ! と思ったものだ。それでも他社と比べるとIIJは激安で「他にないサービス」と、社長は胸を張っていたのを覚えている。
パソコン通信の数千円からすると、個人ではありえない金額だけどね。
10万円払って何ができたか? というと、実は何もできない。
繋げたところで、見るものは天気予報とニュースくらいしかなかった。しかも、スカスカの内容だ。朝日新聞などのサイトもない。
仕方ないから、僕たちはアメリカのNASAなどに行って、英語で宇宙情報を読んだりしていた。アメリカ国防省に行ってもつまらない。ハーバード大学のサイトもつまらない。
面白いサイトなど、最初はなかったのだ。
あんまりつまらないので、僕は自分で『音楽批評』というサイトを立ち上げた。
結構、沢山の人が来てはくれたが、なにしろ人がいないから。ビジネスにはならなかった。
当初は、モノを売るサイトもない。
だいたい人がいないのだからしょうがない。
それでも、人が集まるようになるとビジネスが始まる。
面白そうなところに人が集まりだすと、ビジネスがで生まれるのだ。
ビジネスに人を集めるのではない。
ネットが無料だったから、人が集まり続けている。
ネットは、楽市楽座なのだ。
ネットで会話もメールできるようになって、アマチュア無線も元気がない。例が、適当なのかはともかくとして。
わざわざ電波を使って会話をするのは、もはや趣味の世界だ。
20年くらいでガラッと変えてしまったネット環境だけど、まだまだ、可能性がいっぱいだ。
楽市楽座は、当分、続くだろう。
文:紙本櫻士
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