見せたい。話したい。
「こんなのできました」と、みんなに見せたいけど、開発中の商品は見せることができない。
とはいえ、ごく狭い世界でチームや友人たちに意見を聞きながら開発はしている。
どこまで、見せるかは僕たちの判断になる。
さじ加減が難しいのだ。
商標や特許、意匠、契約書などで商品を守りながらだけど、どんなに防御したってお金を生み出すことが分かればパクられる世界である。
売れない商品なら、誰も真似しない。実に平和である。
でも相手にされないのは寂しいし、真似されるくらいじゃないと魅力的な商品ではないだろう。
ソニーがウォークマンを発売した後、他社から続々と同じコンセプトの商品が発売された。ウォークマンはそれほど魅力的で「売れる!」と、同業他社は誰もが分かった。羨ましい。妬ましい。俺も儲けたい。で、みんな真似するわけである。
録音機能がなく、再生だけに機能を絞ったアイデアは、当初、社内でも大反対だったという。最初に、リスクを取ったソニーが偉いと思う。
新商品には、リスクがつきまとう。
市場はあるのか?
パクられたときの対処は?
などなど、売る前からリスクだらけだ。
作ったはいいけど市場がなかったら、目も当てられない。
ゼロから1を考えるのはパワーがいるのだ。
ウォークマンのように、最初の段階で大反対されるかもしれないし。
それをかいくぐって完成した商品は、胸を張って言いふらしたくなる。
それくらいじゃないと、売れないと思っている。
「あったら便利」ではなく、
「これが欲しい」を作りたいのだ。
文:紙本櫻士
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