文字の量り売り。
一文字1円とか3円とかで、ライターに仕事を依頼するシステムがある。
「只で書いてくれ」より、ましかもしれないが、酷いことを思いついたものだ。
仕事を出す方も、受ける方もね。
それほど、書きたい人が多いのかもしれない。
業界にも問題がある。
誰でも知っている大手出版社が、フリーライターに発注する時、仕事の値段も告げないし、契約も交わさない。
納期をきちんと守るわけだけど、請求すると「ごめーん。経理に回すのわれちゃって」などと言われることがあった。
彼は、請求書を机の中に入れたまま忘れてしまっているのだ。
これはあんまりである。
「社長が、ごめーん、給料振り込むの忘れちゃった」と、言ったら彼らは激怒するであろう。
急ぎの仕事を引き受けて、1ヶ月くらい寝る間も惜しんでコピーライティングをした時のことだ。
事務所でランチしながらTVを見ていると「ぷよぷよで知られるコンパイルが経営破綻しました」と、ニュースが流れてきた。
僕が、一ヶ月ほどかけて作っている広告コピーの会社ではないか!
すぐにクライアントに電話すると「とにかく広告は作ってくれ」と、言われた。
もはや、出来上り寸前なので、僕は書くことにした。納期だって守らなければならないし。
結果は「あれ、いらなくなった」と、告げられて終わり。
ギャラはなしである。
ライターの仕事は、大手とでもこんなものだ。口約束で仕事を受けるからね。
1文字1円で、400字のコラムを書くと400円もらえる。
それって、すごい値段だ。小学生の小遣いみたいじゃん。
きちんとしたスキルを求められるし、納期だって守らないといけない。
時給が下手すると10円くらい?
ネットが現れて、文章の値段が下がった。
オークションのように、ギャラが下がる世界が現れたのだ。
ただでも書きたい人だっている。
文字の量り売りは、よいアイデアだけど、おそらく人を人とも思わないシステムだと思っている。最低賃金の抜け道のような逆オークションは、いただけない。
古いのかな?
文:紙本櫻士
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