人を集める問題。
イベントをやるからには、一人でも多くの人に来てもらいたい。
そんな風に思いながら『千人の月見の宴』をやっている。
初年度、1500人、二年目4000人、今年が7000人の来場である。
『千人の月見の宴』を始めるきっかけとなった『能と花見』は、約40人のお花見イベントだった。
基本、40人くらいのお花見は楽しい。
もちろん、7000人のイベントの楽しさもあるんだけど、重さが全然違うのだ。
1000人を超えた辺りから、警備や許可などがうるさくなってくる。
で、10000人規模になると、苦情やクレイマーの対応が大変なのだ。
今年は「代表を出せ!」と、怒鳴り込んできたおじさんがいた。
リハーサルでだ。
リハーサルの音がウルサイというのが理由だった。
確かに音は出ていたが、昼間だし大音響でもない。
「分かってんのかあんた!」
「すみません。音を絞るようにします」
「今すぐ、中止しろ」
「それはできません」
「警察呼ぶぞ」
「中止は、できません。音がウルサイのは申し訳ありません」
そのやり取りが、開始直前に1時間である。
やり取りの間に、知り合いのホテルマンから電話がかかってきた。
ホテルマンといえば、クレームのプロだ。
「今すぐ、中止しろ。と、怒鳴り込んできたおじさんが来てるんだけど、どうすればいい?」と、僕は訊ねた。
「警察呼ぶぞとか言ってませんか?」
「言ってる」
「では、呼んでください。その人帰りますから」
「なぜ?」
「その人、クレームじゃなくてお金の要求です。おそらくですが…。中止したら、大損するとか言ってます?」
「言ってる」
僕は、おじさんの要求通り警察を呼んだ。
すると、おじさんは警官としばらく話した後、すんなり帰っていった。
警察官から事情を聞くと、有名なおじさんらしい。
「あの人は病んでいる」とも言っていた。
大きな声では言えないけどね。と、疲れた顔で付け加えて。
人を10000人集めると、ややこしい人たちも引き寄せるらしい。
10人のイベントでは、ありえない。
勉強になったのは「代表を出せ」と、言われて行ってはいけないということ。
きちんと対応ができる人を、予め決めておく必要があった。
iPhoneが故障したから、孫正義を呼べと言われて、本人が行ってはいけない。
商品を100万個売った経験はないけど、おそらく未知の問題が山ほどあるんだろうと想像できる。イベントとは違うだろうけど…。
文:川はともだち 代表 紙本櫻士
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