なぜ、月見を始めたの?

やらないと、分からないことだらけ。

 

淀川河川敷で、お月見を楽しみたい。

そう思った。

ならば友だちを誘って、中秋の名月の日に、飲み会を開けばいいじゃないか。

でも、どうせなら地域の人達を沢山呼んで、大掛かりな月見をしたらどうらろう?

ことによると、ビジネスになるやもしれぬ。

『千人の月見の宴』は、こんな風に僕の頭のなかから始まった。

まさか、僕だけでできるわけもない。

当時、僕は北大阪商工会議所の青年部に所属していて、一緒にやってくれそうな仲間がいることに気づいた。

現在、事務局を担当している広瀬である。

 

「何もしなくても10年経つよ」と僕が言うと、

「それはそーだな」と、広瀬が応えてやることになった。

「お金はどうすんの?」と、広瀬が訊いてきた。

「たしか、地域創造ファンドという助成金があったから、申し込んでみよう」

泥縄である。

 

助成金の締め切りまで、一週間なかったのを覚えている。

僕は、ファンドに提出する書類を(結構、細かくて大変なのだ)キリキリ書いて、一次審査を待った。

審査を通過したと連絡が来たのが、二週間後だった。

で、次はプレゼンをすることになった。これが二次審査である。

僕は、慣れないパワーポイント資料を作り、審査員の前で『千人の月見の宴』が、いかに素晴らしかを話した。まだ、やってもいないのにね。

「このビジネスは、利益がでるの?」と、審査員のひとりが質問をした。

「もちろんです。全国で開催できるくらいになれば…」などと、僕はホラをふく。

先のことなど、誰にも分からないのだ。

 

結果、地域創造ファンドに採用され『千人の月見の宴』にチャレンジすることになった。

なんと、開催日まで一ヶ月くらいしかない。

ほぼ、全員に無謀と言われた事業だった。

僕もそー思う。

でもやってみないと、分からないのだった。

 

文:川はともだち 代表 紙本櫻士

 

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