デザインのチカラ。

基本、ダンボールのステージなのだ。

 

ステージキッズは、誰でも簡単に作ることができる強化ダンボールを使ったステージである。

ひとつでも、小さなステージができるし、数を増やせば大きなステージにもなる。

 

強化ダンボールは、木製と同じ強度で軽さが三分の一、というのが売りである。

何度でも使えて、エコだ。

 

でもね、見た感じがむっちゃダンボールなのだ。

「みかん箱の上に立つのと、何が違うの?」

という人だっている。

「いや、強度がね」

と、説明したってダメである。

 

行政で使ってもらえないだろうか?

と、営業したところ。

「昔は、みんなでビールケースを並べてステージを作っていたんです」と、担当者が言った。

「ステージキッズなら、簡単に組めますよ」

「作るのが大変で、業者に頼むと、全部やってくれるから」

そりゃそーだけど、丸投げはコストがきわめて高いじゃないか。どん! と言いたい。

真夏に冷房を節約し、休み時間は電気を消して暗くし、座り心地の悪い安い椅子に座り、の行政である。

「節約してますよ」

というポーズを取っているとしか思えない発言であった。

快適に仕事をした方が、いいと思うよ。

えー、失礼。

どうか、使ってください。

 

僕たちは、『千人の月見の宴』で能舞台を作ったり、宇崎竜童さんに歌ってもらったりした。十分、実用に耐えるという証明にはなった。

とはいえ、デザインである。

 

所有する嬉しさや、満足は、デザインによるところが大きい。

クルマなんか動けばいいし、ステージは立てればいい。

という、ものじゃないのだ。たぶん。

バウハウスは、シンプルに機能を追求したデザインだけど、まぁ、とてもカッコいいのだ。

そのシンプルなデザイン力がね。

 

で、ステージキッズである。

機能はよい。耐久性もある。けど、現在、デザインが弱い。

というかされていない。

開発は、デザインの段階に来ているのだと思う。

デザインがよければ、役所だって採用してくれるやもしれぬ。

さらなるブラッシュアップを急ぎたい。

 

文:川はともだち 代表 紙本櫻士

 

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