ハレの日農園の畑で。
1990年代『ワーズワースの庭で』というフジテレビのプログラムがあった。
清水ミチコや竹中直人が、一人芝居のオープニングで冒険は始まる。
五代目坂東八十助、渡辺満里奈、野々村真が、小洒落たMCで不思議な世界観を創っていた。
基本的に、大人の趣味や道楽を紹介する番組で、僕は「大人って面白いな」と思いながら見ていた(大人だけどね)。スノッブなまだ見ぬ大人遊びに、あこがれを持ちつつ。
例えば、『ナポリを食って死ね』なら、こんな感じ。
いいでしょう?
『ワーズワースの庭で』を見て、当時の僕は一枚の写真を連想していた。
雑誌かなにかで、チラッと見た写真である。
そこには、荒涼とした砂漠と赤銅色のエアーズロックをバックに、正装をした男女とワインをサーブするソムリエが写っていた。
砂漠に出現したテーブルひとつのレストランである。
これしたい!
と僕は写真を眺めながら思った。いや、実際にやるとなると大変だろう。お金だってかかるしね。
砂漠では、コバエが群がってくると聞く。おそらくワインか何かの広告で、ほぼ演出なのだと思う。でも、したかった。今でも。
そんな記憶があった僕に、
「畑でイベントやりたいんだけど」と、広瀬から依頼が来た。三年前だったと思う。
不動産屋の広瀬は、市民農園を管理している。そこで定期的に畑でイベントをやっているのだ。
芋掘りだったり、芋掘りだったり、芋掘りだったり、芋掘りだったりすると言う。
「じゃぁ、ワーズワースの庭で、をやろう」と、僕が言った。
何それ? という、顔をする広瀬にプログラムの説明をした。
「畑でできるの?」
「それはやり方次第だし、なんなら砂漠でだってできる」。たぶん。
早速僕は、枚方公園にある『ビストロ・ル・パッサージュ』の藤下シェフに、フレンチレストランを畑に出現させる企画を話した。
キリッと冷えた白ワインを飲みながら。
説明が終わると、
「ワーズワースの庭で、は僕も好きだったんですよ」と、藤下シェフが言った。
ここにも同士がいた。心強いのだった。
というわけで、明日、8月6日(日) 11時から、ハレの日農園で食すフレンチ『ワーズワースの庭で』やります。
楽しいところに人は集まるし、ビジネスはそこから生まれると思っている。
『千人の月見の宴』もね。
文:川はともだち 代表 紙本櫻士
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