「中学生の漫才だから、そんなに面白くないんじゃないの?」
くらいに思っていたけど、大笑いしました。そして、楽しめました。
ごめんなさい。
大熊中学校の生徒の故郷は、福島県大熊町の原発の町だ。2011年3月11日に東日本大震災に遭遇し、もう6年も避難先の会津若松で暮らしている。友だちとも離れ離れになったりと、生徒数もずいぶん減った。校舎は、いまだにプレハブの仮設である。
「子どもたちの漫才をやるから、ステージキッズを提供してくれませんか?」と、会津にいる友人の大堀さんから連絡が来たのが、2ヶ月くらい前だった。
ステージキッズ絶賛売り出し中の僕たちは、福島でステージキッズのよさが広まるならと、大堀さんの申し出を受けることにした。
聞くと、国語科の授業に使うのだと言う。
「人前で話す」
「自分を表現する」
「自分の考えを相手に伝える」
「相手のことを考えて話をする、聞く」
を、漫才を通じて楽しく学ぶ授業だ。ちゃんと、指導要綱を満たしているのだ。
大堀さんとは、ジュニア・エコノミー・カレッジ(ジュニエコ)という、小学校5、6年生対象のプログラムで知り合った。
5人一組で、会社を作り、商品企画を考え、実際に販売し、決算と納税、株主への配当をした後、会社を解散するプログラムだ。
会津から始まったジュニエコは、現在、日本全国に広まり進行中である。
「これって、ジュニエコの漫才版?」と僕が電話で聞くと、
「まぁ、そうかもです」と、大堀さんが答えた。
漫才講座は6月から7月まで4回ある。最終の7月18日が、『Oー1 グランプリ』での発表である。やっぱり、ジュニエコに似ていた。
僕は、会津まで『Oー1 グランプリ』を見に行くことにした。ステージキッズがどんな風に活躍するのかも、取材したかったし。
『Oー1 グランプリ』当日の7月18日は、朝から雨模様だった。
大熊中学校に着くと、
「被災した中学校で、会津に町ごと避難しているんです」と、大堀さんが仮設校舎を見ながら言った。
実は、僕はそのことを知らないで来ていた。間抜けである。
漫才講座の講師は、ぺんぎんナッツという吉本の芸人である。
ふたりともしっかり芸人オーラが出ていた。今日の司会は彼らだ。
審査員もいて『Oー1 グランプリ』は、かなり本格的なのだった。
大熊小学校の子どもたちも、見に来ている。
父兄ももいて、先生たちもいて、マスコミが大勢取材に来ていた。福島中のマスコミが集まっているという。
漫才をする中学生チームが7組。
実は、最初は心配してみていた。
ところが、どのチームも面白く笑っているとあっという間に終わってしまった。
ステージの上でピカピカに光った子も、何人かいた。
学校では、勉強ができる子や運動ができる子が評価される。
ひとを笑わせる才能は、それとは別だから、普段とは違う子もヒーロー、ヒロインになれるチャンスがあるのだ。
これ、大阪でもやりたいなぁ。
大熊中学校の輝いている子どもたちを見て「うらやましいな」と、
僕は思っていた。
ステージキッズもあるじゃないか。
文:月見の宴実行委員会 代表 紙本櫻士
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