いざ、ニューヨークへ。
ボストン・ジャパン・フェスティバルの取材をしよう。
が、主な目的ではある。
ステージキッズがアメリカで売れるのかを調査もしたい。
友人がいるニューヨークは、ボストンから飛行機で1時間くらいだ。なら寄っていこう、とお上りさんな僕たちはマンハッタンにやってきた。事務局の広瀬は、完全に旅行気分である。
「マンハッタンで何が旨い?」と、最近、マンハッタン通なサンマーク出版のタカハシに聞いてみると、
「ウルフガング・ステーキハウスがよかったよ」と、薦めてくれた。
僕たちが泊まるPOD51ホテルから歩いていけるほど近い。それはいい。
では、そこで、と思っていると、現地の岡田が
「マンハッタンでステーキと言えば、キーンズだな」と、言う。
1885年創業の老舗で歴代大統領も虜にしたステーキハウスだという。そこは、現地の人間に従おう、とキーンズでステーキを食べることにした。
待ち合わせは午後7時だった。
マンハッタンは小雨が降っていた。先に着いた僕たちは、店内で待つことにした。
入口付近にある待合スペースは、待っている人でごった返していた。壁や天井に、白くて細いパイプがいっぱい飾ってある。
ベーブ・ルースやルーズベルト大統領のパイプもあるらしい。昔のパイプは壊れやすくて、店にキープしていたららしいのだ。
しばらくすると岡田が現れた。
岡田とは、岡田の結婚式以来だ。ちっとも変わっていない。
岡田が店員に予約を告げると、二階の窓際の席に案内される。
「ずいぶん、いい席に通されたなぁ、どうしたんだろう」と、岡田が言う。
マンハッタンの夜景が見れる素敵な席だ。
「とりあえずビール」と、岡田が言う。
「英語うまくなったな」と、僕が言うと、
「ダメだよ。相変わらず」と、岡田が言った。
店員が大きなメニューを渡してくれる。
「ここのステーキは大きいから」と岡田がメニューを見ながら言った。
で、岡田がステーキ二皿を頼んだ。
広瀬とみーやんと、岡田と僕とでシェアだ。
「この後、麻雀しないか?」と、岡田が言った。
高田馬場と変わらない会話である。
「ニューヨークで麻雀できるの?」
「メンツもいるし、いいところあるんだ」
とはいえ、日本から13時間以上かけて、僕はくたくたである。それにあまり寝ていないからさすがに断った。ニューヨークの麻雀も観てみたかったけど…。
岡田が残念そうな顔をする。
ステーキが来た。
確かに、一人前とは思えないデカさだ。
食べてみると、日本で経験したことがない肉質だ。旨い。
「美味しい!! もっと固くて美味しくないのかと思ってました」と、広瀬が言った。
「アメリカは、肉が本当に旨い。日本の霜降りとは違う美味しさを追求してるんだ」と、岡田が言った。
「驚きました。僕も霜降り信仰してましたから」と、みーやんが言った。
ビールがなくなったので、赤ワインを注文する。ソムリエがすっと来て、オススメのワインをチョイスしてくれた。待ってましたとばかり、笑顔でサービスである。
「6万人くらい参加するジャパン・フェスティバルがボストンであって、それに来たんです」と、広瀬が言った。
それについて、僕は岡田に説明した。
「おーしちゃん、いろいろやってるなぁ」と、岡田が言った。
日経新聞と共同通信で、原稿を書いていたことがある。
ふたつとも、岡田が昔いた会社で、同時期に同じ仕事をしていたのだ。
現在、岡田はテレ朝で仕事をしていた。名刺を見るとアメリカの副社長と書いていった。偉いのかもしれない。
「実は、日本にもうすぐ帰るんだ」と、岡田が言った。
「なら、日本で麻雀しよう」
結局、麻雀なのか。
アメリカの事情などもいろいろ聞け、ステージキッズ販売の可能性もありそうだった。
最後に、デザートを頼んだんだけど、これもデカすぎ。アメリカ人が大きくなるハズである。
写真が、そのデザート。ブランデーをかけた大人のアイスだ。これも旨いのだった。
文:月見の宴実行委員会 代表 紙本櫻士
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