ダンボールひとつください。
では、売りづらい。
名前(商標)が必要だった。
ウォークマンみたいなネーミングが欲しいところだ。
ウォークマンも英語としては、文法的に問題はあるけどうまい和製英語だと思う。
アメリカでは、当初、Run about(走り回る)からの造語でSound aboutだった。
でも、次第に日本からの影響で海外でもウォークマンが定着していく。
僕にはウォークマンだと、徘徊のようにも思える。ネイティブじゃないから分からないけど…。
「ステージのキットだから、ステージキッズはどう?」と僕が言うと、
「ステージのキットだから、ステージキットじゃだめなんですか?」と、事務局の広瀬が言った。
枚方市駅前の木馬という喫茶店でのことだ。
店には、コーヒーを前に文庫本を読んでいるスーツを着たおじさんがひとりいるだけだった。僕たちのテーブルにもコーヒーが3つ並んでいた。
「ステージキットにステージキットという商標は取れないと思う。トランプって商標がトランプで取れないのと同じ理由でね」
僕がそう言うと、広瀬はなんだか不満そうに黙り込んでコーヒーを一口飲んだ。
別にええやんけ。という表情である。
「小さなステージという意味もありそうだし、子供というのも可愛いし、ええんちゃいますか」と、副代表で行政書士のみーやんが言った。
「じゃぁ、それで商標取ろうよ。名前がないと不便だよ」
「ええと思いますよ」と、みーやんが言った。
商標には区分があって、類と呼んでいる。
例えば、パンとかサンドイッチの名前で商標を取りたいなら、30類で登録する。
「ステージって何類?」と、僕はみーやんに訊いた。
早速みーやんが、スマホを覗き込みながら調べているようだった。
しばらくして、
「たぶん19類ですね」と、みーやんが言った。
「あれ? ステージのキットという分類が見当たりません」とみーやんがスマホをいじりながら首を傾げていた。
「別にええやんけ」と、広瀬がつまらなさそうに言った。
「別にええことないですから、特許庁に電話して聞いてみます」
商標登録はつづく。
※ 写真は、ボストンジャパンフェスティバルの様子です。
文:月見の宴実行委員会 代表 紙本櫻士
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