男殺しのオイルサーディン丼とか。
大阪湾で獲れたカタクチイワシで作った、オイルサーディンがある。
まだ発売前の新製品なんだけど、これをクラウドファンディングのリターンに選べるようにした。
純米吟醸『千人の月見の宴』と、一緒に食べると酒が進みそうだし。
オイルサーディンといえば、森瑤子の『デザートはあなた』に出てくる、男殺しのオイルサーディンを思い出す。これで落ちない男はいない、という簡単オイルサーディン料理である。オイルサーディンを七味唐辛子と醤油で味付けしてご飯に乗せるだけの代物だ。
仕上げに、ネギとカボスとかレモンなどをシュッっとかければなおいい。
卵を乗せれば、男殺しのオイルサーディン月見めしになる。
もうひとつは、村上春樹のデビュー作に登場するオイルサーディン。
「こんなのはどうだい? 俺の乗っていた船が太平洋のまん中で沈没するのさ。そこで俺は浮き輪につかまって星を見ながら一人っきりで海を漂っている。綺麗な夜さ。するとね、向こうの方からこれも浮き輪つかまった若い女が泳いでくるんだよ。」
「いい女かい?」
「そりゃね。」
僕はビールを一口飲んで頭を振った。
「なんだか馬鹿げてるよ。」
「まぁ聞けよ。それから俺たち二人は隣り合って海に浮かんだまま世間話をするのさ。来し方行末、趣味だとか、寝た女の数だとか、テレビ番組についてだとか、昨夜見た夢だとか、そういった話をね。そして二人でビールを飲むんだ。」
ねぇ、ちょっと待ってくれ。一体どこにビールがあるんだ?」
鼠は少し考えた。
「浮いてるのさ。船の食堂から缶ビールが流れ出したんだな。オイルサーディンの缶と一緒にね。これでいいかい?」
ーーーー村上春樹『風の歌を聴け』より
実際、村上春樹はオイルサーディンが好きなのか、国立でやっていたお店『ピーター・キャット』に、オイルサーディンのサンドイッチを出していた。
焼いたパンにバターとアンチョビーペーストを塗って、スクランブルエッグとオイルサーディンを合わせたものを挟む。やってみたことはないけど、なんだか美味しそうだ。
そのままでも旨いけど、ちょっと手を加えると、素敵なレシピがいっぱいできそう。
なんだかお腹が減ってきたぞ。
文:月見の宴実行委員会 代表 紙本櫻士
オイルサーディンあります。
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