なんでやるの?
CAMP FIRE(キャンプファイヤー)とかMakuakeとか、クラウドファンディングをやっている会社は、ググるとたくさん出てくる。
どうやら、それぞれ得意分野があるらしい。
地域貢献が得意とか、エンターテイメントが得意とか…。
で、僕が選んだのがMakuakeである。
エイヤッと選んだに近いわけだけど、「日本の幕明けは近いぜよ」と、坂本龍馬が言うようなネーミングも良さげだ。サイバーエージェントがやっているから、ネットで宣伝も得意そうである。
早速、僕は担当者に会ってきた。会社の事務局の広瀬早苗と一緒にである。
「淀川河川敷で、能と音楽を聴きながらお月見がしたいんです」
「なぜ、やりたいとおもったのですか?」と、担当の松岡さんが訊ねた。
明るい茶色系のジャケットに、ジーンズのラフな格好だった。二十代後半くらいだろうか?
「僕が見たかったからです」と答えると、
「すみません。うちの代表は空気が読めないので」と、広瀬がすかさず言う。
「地域を盛り上げて、長く続く秋のお祭りをわたしたちで創りたいと思ったからです」と、広瀬が続けた。
「それはそーだけど、見たいじゃないか」
というと、なんだか怖い顔で広瀬が睨むので、僕は黙ることにした。
「まずは、申請書を出していただいて、それからですね」
「2兆円くらい集まりますか?」と僕が言うと、
「黙っててください」と、広瀬に遮られた。
「最初の一週間が、大切なんです。そこで三十%達成すれば、成功しますよ」
なるほど、と思う。それから、魅力的なリターンも必要らしい。
そこでしか体験できない、とか、食べることができないなどだ。
「食べることができないかぁ…。どうする?」
「探すしかないでしょう」と、広瀬が言った。
文:月見の宴実行委員会 代表 紙本櫻士